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<title>凌辱される松井～第一章マリアの子守歌十五</title>
<description> written by 小林貴夫 そのように、おまえの小宇宙であるおまえの部屋の四方と、はじめから他人であることをむき出しにした家族のなかで、おまえは育った。四歳の頃、おまえは街の東側の、南東一帯(先に書いたが、この話の舞台である街が私鉄の線路を挟んで大きく東西に分けられる。小学校の校区に従った区分だが、そもそも別の街ではなく、一つの名前しか持たないため、とある場所をしめすにもその所在がこの街のうちにある限り、
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<![CDATA[ <p><font size="3">written by 小林貴夫 </font></p><br /><p><font size="3">そのように、おまえの小宇宙であるおまえの部屋の四方と、はじめから他人であることをむき出しにした家族のなかで、おまえは育った。四歳の頃、おまえは街の東側の、南東一帯(先に書いたが、この話の舞台である街が私鉄の線路を挟んで大きく東西に分けられる。小学校の校区に従った区分だが、そもそも別の街ではなく、一つの名前しか持たないため、とある場所をしめすにもその所在がこの街のうちにある限り、このように奇妙な言い方でしか表現できない)を占める私立大学付属の幼稚園に通い出した。毎朝、一旦街の中心にある駅前に集合し、そこから南へ一駅、先生がおまえと、その駅が最寄りの他の園児たちを電車に乗せて大学前の駅で降り、さらにそこから南へ百メートルほど歩いたその幼稚園に連れていく。言うまでもないことだが、帰りはその逆。集合場所である駅前までは、おまえと一緒にいても女であることを隠すことができない、つまり他人であるおまえのだらしのない母親が、おまえを連れていき、迎えにくる。幼稚園で、おまえはいい子だった。人一倍不器用で、服を自分で着れるようになったのもクラスで一番最後だったし、靴紐さえついに結べるようにならなかったどころか、結べるようになったのはやっと小学校六年生になってからだったが、とにかくも、おまえはなんでも自分でしようと頑張ったし、何も欲しがらずに我慢したし、決して泣かなかった。実のところ、他人のような家族のうちに育ったおまえは、記憶にない乳幼児の頃はともかく、人が人に甘えるべき状況を知らなかったのだ。それでもおまえの母親は、おまえを甘やかしていたのだが。だが、それを母親からの甘やかしとして受けいれるにしては、おまえの母親はだらしなさ過ぎ、女であり過ぎ、華奢に過ぎ、かわいらし過ぎた。おまえの本能はむしろ、おまえに「人は互いに狼である」ことを早くに直感させ、おまえはすでに、人は己を頼りに生きなければならないことを知っていたのだ。一方で、おまえは足が早く、絵が上手かった。幼稚園で披露する機会はなかったが、ピアノだって弾けた。遊戯の時間は、どの園児よりも早く、幼稚園の廊下や運動場を走り回ったし、そうでない時は、電車や蝶、バッタを、かなり精確にスケッチした。草花を除いて、決して動いていないものを描きはしなかった。それほどまでに、おまえは活発な園児だった。けれども、その活発さはむしろ、全身体活動を巻き込むまでに凄まじい表現意欲に根ざすのであり、おまえの不器用さとは一つのものであって、自分で服を着ることも、靴紐を結ぶこともできず、まして折り紙などできるはずもない、身体的言語のずれを背負った暗い怨恨に釣り合うものであることなど、おまえの周囲の誰の想像も及ぶところではなかった。</font></p> ]]>
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<dc:subject>読み物</dc:subject>
<dc:date>2007-05-13T22:13:42+09:00</dc:date>
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<title>凌辱される松井～第一章マリアの子守歌１１</title>
<description> written by 小林貴夫 　もちろん、おまえは家族と暮らしていた。けれども小さなおまえが、自分の心をどれほど人の心に砕くことができただろう。おまえの家族は、両親と祖父母と腹違いの姉。七歳年上の姉が、小さなおまえをよくぶったとしても、おまえはそれが悲しくはなかった。ただ痛くて、おまえは泣いた。祖父母もおまえを愛さなかった。おまえも祖父母になつかなかった。ものごごろついた頃にはもう、おまえは祖父母の顔も思い
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<![CDATA[ written by 小林貴夫 <br /><br /><hr size="1"><br /><br />　もちろん、おまえは家族と暮らしていた。けれども小さなおまえが、自分の心をどれほど人の心に砕くことができただろう。おまえの家族は、両親と祖父母と腹違いの姉。七歳年上の姉が、小さなおまえをよくぶったとしても、おまえはそれが悲しくはなかった。ただ痛くて、おまえは泣いた。祖父母もおまえを愛さなかった。おまえも祖父母になつかなかった。ものごごろついた頃にはもう、おまえは祖父母の顔も思い出すことができなかった。おまえの網膜はただ、金色の懐中時計を神経質そうに繰り返し磨いている大きないかつい手の仕草、魚と日本酒以外めったに口にしないいつも湿った唇が、時折、魚の身をとりこぼす仕草を、祖父の像として結ぶ。不自由な左足をかばいながら、夕刻の坂道を登ってくる遠い人影としてだけ、祖母の像を結ぶ。<br />　おまえの背が高く頑強な父、威厳に満ちた髭面の、誇り高いアカデミストの画家の父は、初めての男の子のおまえの教育に熱心であろうとした。だが、おまえは与えられた勉強道具をことごとく拒絶し、おまえの父親もおまえの心をはかりかねたため、自らおまえを教育することを断念してしまった。時間がないので、今日はここまで。<br />（続く） ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-03-01T02:16:41+09:00</dc:date>
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<title>凌辱される松井～第一章マリアの子守歌１０」</title>
<description> written by 小林貴夫　鈴木、おまえは、小さな池のほとりに椿と南天の木を植え、葡萄棚を構えた中庭を三方から取り巻く古い平屋の家から、そこだけ二階になって突き出ている櫓のような子供部屋で育った。部屋の四方に窓があり、崖と一車線の道路を挟んだだけの北側の眼下には、段々畑や藁ぶきの民家の集落、小ぶりな雑木林などが、そこから先が千里丘陵であることを表白するはるかなモウソウチクの群落にむけて、標高を高める傾斜
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<![CDATA[ <strong>written by 小林貴夫</strong><br /><br /><hr size="1"><br /><br />　鈴木、おまえは、小さな池のほとりに椿と南天の木を植え、葡萄棚を構えた中庭を三方から取り巻く古い平屋の家から、そこだけ二階になって突き出ている櫓のような子供部屋で育った。部屋の四方に窓があり、崖と一車線の道路を挟んだだけの北側の眼下には、段々畑や藁ぶきの民家の集落、小ぶりな雑木林などが、そこから先が千里丘陵であることを表白するはるかなモウソウチクの群落にむけて、標高を高める傾斜に点在していた。さらにその向こうには、箕面や茨木の青い山並が展開しており、晴れた日の子供時代のおまえの視力には、その木々の貪らんに茂った葉むらまでもがよく伺えた。西側は、遠くになるにつれ田畑のなかに民家の密度が高まり、やがてはいくらかの高層マンション、おまえの通う小学校、そのそばの公団、それに駅舎の尖塔と教会の鐘桜がひしめく遠景にまで展開していった。さらに遠く、南東のあたりには、銀色に陽を照り返すコンビナートが見え、そこには、赤と白の縞模様の煙突がそばだっていた。夜になると、その煙突の先端が、命ある者の鼓動を打って赤い火を点滅した。子供時代のおまえはよく、それと時間を忘れて見つめ合い、話しかけた。東と南の眺望は乏しかった。東側には、おまえの両親が大家である三階建ての鉄筋のアパートの、二階の窓のない壁があるだけだった。南側は小さな雑木林の丘であり、おまえの家の裏庭からほんの少し、おまえの子供部屋の屋根ほどの高さまで登ると、もう丘の上に出てしまう。そこには畑があり、民家があり、溜池があり、そこへは丘の西側から石段がつけてあり、さらに東側へのじゃり道沿いに、左右５軒ずつほどの細長い集落が続いた。けれども、おまえの部屋からは林しか見えなかった。が、それもよかった。子供時代のおまえは、春には黄や白亜や薄紅に花咲き、夏には蝉の声がみずみずしく緑にしぐれ、秋には褐色に強ばり、冬には裸の木々の狭間を風が吠える林の季語を読んで飽きることはなかった。特に夏の夜は格別だった。間近のカンタンやカネタタキ、ヨツカドコオロギやエンマコオロギ、マツムシやスズムシの鳴き交しに耳をそばだて、窓ガラスにたかるカゲロオやヤモリ、ヒメコガネが這う腹をじっと観ていたらば、寝るのも忘れてしまう。幼年時代、おまえは病弱で、他の子供たちと比べて家の外に出かけることは多くなかった。それどころか、小学校にあがるまでは一人で外に出ることもなかった。ただおまえの子供部屋の四方が、おまえの、決して内面をゆずることのない、外部世界への遠巻きの視線のゆりかごとなったのだ。 ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-02-21T00:32:38+09:00</dc:date>
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<title>凌辱される松井第一章～マリアの子守歌１０</title>
<description> written by 小林貴夫 　前回までに話の舞台は整った。唐突ながら、ここで一息入れようと思う。筆者は、あと二ヶ月もしない間に東京を去る。東京での三年間は苦しかった。特に、創作においては凶作だった。この場でつまびらかにするのは抵抗があるが、諸事情あって職を得て、その多忙と財政難に追われる生活だったためだ。それが今後改善される目処もたっていない。むしろ退職後の生活、いや、ほとんど生存のことを考えると、しばら
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<![CDATA[ <strong>written by 小林貴夫</strong> <br /><br /><hr size="1"><br /><br />　前回までに話の舞台は整った。唐突ながら、ここで一息入れようと思う。筆者は、あと二ヶ月もしない間に東京を去る。東京での三年間は苦しかった。特に、創作においては凶作だった。この場でつまびらかにするのは抵抗があるが、諸事情あって職を得て、その多忙と財政難に追われる生活だったためだ。それが今後改善される目処もたっていない。むしろ退職後の生活、いや、ほとんど生存のことを考えると、しばらくはこれまで以上のどん底が続く見通しだ。東京という町は好きになった。というのは、時間的にも、金銭的にも、遠くに出歩く余裕がないから、勤め先のある新宿や、住んでいる中央沿線に好きな場所を探して歩いたからだ。またそれだけに、たまに新宿や中央沿線以外の所に出かけると、解放感に助長され、余計に美しく思えたのだ。年相応の生活が送れるならば、渋谷や原宿や恵比寿あたりの、アートやモードを背景にした静かで洗練された裏道を日々通い、自分もまたその空気に参加することもできたかと思うと、羨望もいや増すばかりだった。関西にいた頃にも訪れた横浜には、東京に住んでからは一度しか行けなかったのだが、僕は港が好きだし、何よりも海が好きだし、なかでも特別な情緒で名高い港だから、もっと行きたかった。もう一度くらい訪れてみたいが、それほどの金銭的余裕はない。それ以上に、もう一度鎌倉に行ってみたい。僕は、関西にいた頃ですら、三度も訪れたほど鎌倉が好きだ。だが、東京に来たからと言っても、同じく三度だけしか訪れることはできなかった。もう、煙草とコーヒーで息をつく夜更かしの後で、潮の匂いに向けて散歩し、街灯を映し込んだ銀波の向こうに、漁火を数えることもないだろう。…駄文、失礼いたしました。<br /><br />（続く） ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-02-07T23:55:59+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
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<title>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</title>
<description> written by 西田真尋　次の言葉を今かと待つようにして一紗の様子をじっと眺めている。　一紗はしばらく考えているように黙ったままでいるとようやく口を開いた。「それは…無いわ」「え…？」呆気にとられて一紗を見つめた。「無いのよ、それは」「どういう事ですか？」「私達に出来るのは封じ込める事だけ」「でも海外の論文だけでも…」「治療法はあるわ。でもそれはそれだけのサンプルが増えた後の話」「…」「そうなった時はもう
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<![CDATA[ <strong>written by 西田真尋</strong><br /><br /><hr size="1"><br /><br />　次の言葉を今かと待つようにして一紗の様子をじっと眺めている。<br />　一紗はしばらく考えているように黙ったままでいるとようやく口を開いた。<br />「それは…無いわ」<br />「え…？」<br />呆気にとられて一紗を見つめた。<br />「無いのよ、それは」<br />「どういう事ですか？」<br />「私達に出来るのは封じ込める事だけ」<br />「でも海外の論文だけでも…」<br />「治療法はあるわ。でもそれはそれだけのサンプルが増えた後の話」<br />「…」<br />「そうなった時はもう手遅れよ。防疫という点では」<br />「手遅れ…ですか？」<br />「ええ…。未知のウイルスに対しては人体は無力。一回感染すれば肉体の生まれながら持っている抵抗力によって治癒しなければ、食い尽くされるしかない」<br />「それほど…」<br />　しばらく涼子は押し黙ったままでいた。本からではないその場からの声に何と言っていいか分からない。その様子を見て一紗は軽く自嘲するようにからっと声を上げた。<br />「実際はそこまで悲惨な話にはならないわ。死に至るほどの侵攻を見せるウイルスなんて今の所ほんの一部よ。もともと分かっている事なんてほんの一部なんだから」<br />「じゃあ、有効な手だては…？」<br />「触れる所にいない事ね」<br />「触らない事…ですか」<br />「そうすれば何も起こらない。お互いにね」<br />　戸惑いながら涼子は言葉を探している。ようやく一言、口をついて出た。<br />「ウイルスって…何なんですか？」<br />「習わなかった？」<br />「いえ…そういう意味じゃなく…」<br />一紗の言う世界は涼子が知っている物との違い。文字や映像で眺めている者とすぐ目の前でその手で触れていた者との違い。此岸と彼岸ほどは離れているのかも知れない。<br />　一紗は言った。<br />「最後の恐竜みたいな物よ」<br />「恐竜？」<br />「かつては地上の支配者だったのかも知れない。でも今は人の足も及ばない所で私達をじっと伺っている。…そんな気分になる時もあるわ」<br />「人も行けない所なんて…」<br />「禁断の地なんてそんな物だったのかも知れないわね」<br />「伝説とかのですか？」<br />「うかつに踏み込めばそこはもう人間の世界じゃない。報いを受ける事になるのかも知れない…」<br />「でも今時そんな所が…」<br />「だからなのかも知れないわよ。まだ滅びずに、滅びようとしていてもまだそこにいるのかも…」<br />目の前のいたいけな助手は黙り込んでしまった。いささか刺激がありすぎる話だったのかも知れない。彼女はただの学生ではなくこの世界に片足を突っ込んでしまっている。<br />　一紗は意地悪くその様子をほくそ笑んで眺めると、<br />「まあ性質の悪い冗談よ」<br />と茶化した。<br /><br />（続く） ]]>
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<dc:subject>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</dc:subject>
<dc:date>2007-02-05T22:58:55+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
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<title>凌辱される松井第一章～マリアの子守歌８</title>
<description> written by 小林貴夫 ブログ用小説の試み　それにひきかえ、町の名がついた駅の西側にある繁華街は、ずっと小ぶりだ。それは、ゴシック風の尖塔を持ち、構内をステンドグラスで飾った駅舎から、北西にのびる例の噴水までの上り坂と、南西に百メートルほどのびる、やはり上り坂になっている寺院の参道沿いに限られている。ごく大ざっぱに言うと、駅の正面には、魚屋、肉屋、青果店、豆腐屋、電気屋、おもちゃ屋などがいくつも入った
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<![CDATA[ <strong>written by 小林貴夫</strong> <br /><br />ブログ用小説の試み<br /><br /><hr size="1"><br /><br />　それにひきかえ、町の名がついた駅の西側にある繁華街は、ずっと小ぶりだ。それは、ゴシック風の尖塔を持ち、構内をステンドグラスで飾った駅舎から、北西にのびる例の噴水までの上り坂と、南西に百メートルほどのびる、やはり上り坂になっている寺院の参道沿いに限られている。ごく大ざっぱに言うと、駅の正面には、魚屋、肉屋、青果店、豆腐屋、電気屋、おもちゃ屋などがいくつも入った大きな市場があり、その南北両方に延びる上り坂に、飲食店や生活必需品の店、本屋や散髪屋などがあり、生活するには充分な商店街になっている。ところで、町の東側には寺院が四つ、神社が三つあるのだが、西側には、ここに寺院が一つあるだけだ。一方キリスト教会は、駅舎から真北に、つまり線路沿いに延びる狭い坂道を五十メートルほどいくと、幼稚園を併設した木造の立派なものがあり、東側には一つもない。大正期、この町の造成と同時に建ったキリスト教会で、高いアーチ型の天井をもち、ファザードと堂奥の祭壇上に高くステンドグラスを掲げた礼拝堂と、駅前からも、それどころかこの町のほとんどいずこからも仰げる、鐘桜の尖塔が、それも古い木造のもののため、ほとんど黒ずんでみえる鐘桜がそびえている。この鐘桜は町のシンボルであり、初めてこの町を訪れる者が駅のホームに降り立ち、すぐさま強い印象をうけるのが、この鐘桜だ。駅舎もまた、この鐘桜と礼拝堂を模したものだ。時間がないので、今日はここまで。 ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-02-01T02:00:32+09:00</dc:date>
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<title>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</title>
<description> written by 西田真尋 　やつれている。時にだがそう感じる。　涼子が一紗の様子の変りばえにそう思えるようになったのはここ最近。　オフィスでは普段と変わらない姿のように一見思えなくもない。ただここ数年、一度すら見えなかった仕草が気を留めるようになった。　一紗がその助手の様子を伺い知る兆しもない。　ルーカスの話がいつも頭の中に付いて回った。カイトが見た物…何だったのだろうか。　その事を考える時、一紗の目は
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<![CDATA[ <strong>written by 西田真尋</strong> <br /><br /><hr size="1"><br /><br />　やつれている。時にだがそう感じる。<br />　涼子が一紗の様子の変りばえにそう思えるようになったのはここ最近。<br />　オフィスでは普段と変わらない姿のように一見思えなくもない。ただここ数年、一度すら見えなかった仕草が気を留めるようになった。<br />　一紗がその助手の様子を伺い知る兆しもない。<br />　ルーカスの話がいつも頭の中に付いて回った。カイトが見た物…何だったのだろうか。<br />　その事を考える時、一紗の目はどこか違う場所へと向かっている。そんな一紗を横目に涼子は手元のレポートに筆を走らせている。ふと一紗に目をやるとぼんやりと窓の外を見ていた。<br />「…一紗さん？」<br />振り向くと涼子がじっと見つめている。<br />「どうしたの？」<br />「これなんですけど…」<br />涼子は書きかけのレポートの一部を一紗の前に差し出した。<br />「…ああ、抗ウイルスに関する処方ね」<br />「ええ、詳しく聞いてもいいですか？」<br />「…いいわよ」<br />　一紗がページを捲る。筆の止まっている箇所を見ると未知のウイルスに対する処方であった。<br />「専門かと思って…」<br />妙に涼子がおずおずとした様子を見て一紗は微笑んだ。<br />「そうね…、でも少しだけ疎くなってるかもね」<br />「いえ…、それでも…」<br />涼子の口は少しはばったい感じ。<br />「どうしたの、固くなっちゃって…？」<br />怪訝に一紗が尋ねると涼子は気まずそうに口を開いた。<br />「あの…、今聞いていいのかと思って…」<br />「何が？」<br />「遠くを見ているみたいで…」<br />涼子の口元が引き締まった。<br />「何か…あったんですか？」<br />「…そう見える」<br />涼子の目を見ながらの一紗の言葉に、涼子はあたふたとして涼子は持っていたレポートの束を落としかけた。<br />「おっと」<br />一紗の手がレポートを取った。<br />　涼子はばつの悪そうな顔を浮かべている。<br />「いえ…その…」<br />その様子に一紗は目を細めた。<br />「ありがとう…、でも何でもないわ」<br />「そう…、ですか」<br />口を開くと一紗は話を戻した。<br />「ウイルスへの対処ね…」<br />レポートに目を落とすとじっと文面に目を通すと顔を上げた。<br />「理論面は問題ないわ。基本的な検疫の所も特に言う事もないわ」<br />涼子は少しを胸をなで下ろした様子ながら一紗の顔色を伺うようにして言葉を継いだ。<br />「…それで、新種のウイルスに対する防御なんですが…」<br />「そうね…」<br />髪を掻上げた。テーブルの上にある煙草を手に取るとゆっくりと火をつけた。<br /> ]]>
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<dc:subject>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</dc:subject>
<dc:date>2007-01-29T00:06:08+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>凌辱される松井～第一章マリアの子守歌７</title>
<description> written by 小林貴夫 　ブログ用小説の試み　前回、中途半端なところで話を終えると書いた。F地区についての記述を途中で終えたものの、そこについてそれ以上書き加えることは、少なくとも概観としては、もうほとんど残っていなかったためだ。ただ書き加えるべきことは、そのアミューズメント地区には、ゲームセンターやパチンコ屋、女の子がふと立ち寄る雑貨屋や喫茶店が軒を連ね、映画館とライブハウス、クラブもあり、路肩には
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<![CDATA[ <strong>written by 小林貴夫</strong> <br /><br />　ブログ用小説の試み<br /><br /><hr size="1"><br /><br />　前回、中途半端なところで話を終えると書いた。F地区についての記述を途中で終えたものの、そこについてそれ以上書き加えることは、少なくとも概観としては、もうほとんど残っていなかったためだ。ただ書き加えるべきことは、そのアミューズメント地区には、ゲームセンターやパチンコ屋、女の子がふと立ち寄る雑貨屋や喫茶店が軒を連ね、映画館とライブハウス、クラブもあり、路肩には、髪をくくった若い男やヨーロッパ系の外国人が、民族色の濃いアクセサリーや雑貨、古着、クレープやたこ焼きを売る露店がひしめき、ミュージシャンが立ち、絵描きが座りこみ、ひとたび裏通りに入りこめば、ラブホテルやピンサロやキャバクラの電光看板が、ピンクや緑や紫にケバ立ち、折り重なっていたことだ。だが、概観を越えて、この地区がこの町の少年たちの精神に占めていた大きな地位を語らずして、この地区についてわずかでも話した気にはならないのだ。鈴木少年をはじめ、登場人物の多くが中学生になってやっと、少なくとも一人で、あるいは少年同士で、または女の子と踏み込むこの地区は、子供時代における、町の東側の北東を占めるあの大きな雑木林の丘と、地理的にも精神的にも、ちょうどねじれの位置にあるもう一つの冒険だった。町のその他の部分は、竹林や雑木林、阪神高速、大阪平野から千里丘陵の中央を貫く幹線道路によって、外界と隔てられている。だが、その幹線道路をまたいで広がるF地区だけは、外界と地続きだった。確かに、町の南部は阪神高速に近づくに連れ、さらにその南部の、工業地帯の息苦しい空気に接近し、例えば不良少年少女のたまり場である高架下や、痴漢の頻出するガレージに近づかないよう、注意が喚起された。それでもそういったことは、日常的に顕現してはいなかった。一方F地区は、都市生活の当然の一局面にまで、または歓楽街という都市のありふれた一光景にまで迷彩化して、性と暴力と倦怠が、淋病とアル中と不眠症が露呈している関西の一都会の典型だった。少年たちは、中学生にもなるとそこを最も身近な都会として親しみ、深入りしていく。それは、それまで育った町に居ながらにして、牧歌的、あるいはブルジョワ的だった町のイマージュを、その発生以前の白紙にまで押し戻し、またたく間に煤まみれにしてしまう、急旋回の観念の発熱だった。この町で少年時代を過ごした人なら、F地区の、ネオンサインがとりどりの光を斑に落としたアスファルトを、異郷者の孤寂と就航の興奮の相半ばするけだるい甘さの眠りをとりながら、さまよい歩いたことを忘れないでいるだろう。<br /><br />（続く） ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-01-25T00:51:09+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<link>http://servicearea.blog65.fc2.com/blog-entry-141.html</link>
<title>凌辱される松井～第一章マリアの子守歌７</title>
<description> written by 小林貴夫ブログ用小説の試みさて、前回はかなり慌てて書いたことで、一部で無意味に過去形で記述してしまうなど、読者の内容への集中を損なうような、極めて初歩的な文章上の欠陥を招いてしまったようだ。だが、引き続き急いで書いていかねばならない。ところで、この町の西側については、第二章以降の舞台となるため、その折にまた詳しく触れることになるから、前回までの、およその外貌をなぞった記述で一旦おいてお
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<![CDATA[ <strong>written by 小林貴夫</strong><br /><br />ブログ用小説の試み<br /><br /><hr size="1"><br /><br />さて、前回はかなり慌てて書いたことで、一部で無意味に過去形で記述してしまうなど、読者の内容への集中を損なうような、極めて初歩的な文章上の欠陥を招いてしまったようだ。だが、引き続き急いで書いていかねばならない。ところで、この町の西側については、第二章以降の舞台となるため、その折にまた詳しく触れることになるから、前回までの、およその外貌をなぞった記述で一旦おいておこう。ただ、いくらか特筆すべき点を挙げておく。東西あわせてこの町の最大の繁華街は、この、町の西側の南西を占めるF地区だ。ここはモウソウチクの丘と共に、町の西端の境界線の一部をなし、同時に市境もなしている、大阪市内から北大阪のど真ん中を貫く幹線道路に沿っていくらかある都市部の一つであり、その幹線道路の上下車線の狭間にひかれた私鉄路線の駅を中心に、東京の大手私鉄系列のデパートやホテル、その他の東京の大企業の大規模な支店の入った高層ビルなどが林立している。その関係で、東京のモードを売り出すブテイックやアパレルも多く、ここでは東京人も、東京を感じる、と洩らすことも多い。また、飲食店は平凡な飲み屋やファーストフードも多いが、歩行者天国になっているアミューズメント区の通りには、当時としては先駆的だったピザを焼く釜もある本格的なトラットリア、やはり当時はバター臭いなどと言って敬遠されることも多かったベルギーワッフルを日本で初めて売り出した店などもあった。さて、中途半端になるが時間がないため、今回はここまで。<br /><br />（続く） ]]>
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<dc:subject>小林貴夫＆浜田康男</dc:subject>
<dc:date>2007-01-21T04:26:47+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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<title>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</title>
<description> written by 西田真尋　日差しは強いがエアコンの効いている店内では鋭い陽の光だけが目についてくる。窓の外は映画のスクリーンを覗いているのと変わらない。地面がじりついたむっとくる暑さもない。空気が茹だっている湿気もない。  一紗の額にはうっすらと汗がつたっていた。「…彼は、…何を？」「『違う』と言っていたよ」「違う？」「もっと別の物だと言っていた。もっとな…。「…」「お前が合流してくる少し前の頃さ」　ルーカ
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<![CDATA[ <strong>written by 西田真尋</strong><br /><br /><hr size="1"><br /><br />　日差しは強いがエアコンの効いている店内では鋭い陽の光だけが目についてくる。窓の外は映画のスクリーンを覗いているのと変わらない。地面がじりついたむっとくる暑さもない。空気が茹だっている湿気もない。<br />  一紗の額にはうっすらと汗がつたっていた。<br />「…彼は、…何を？」<br />「『違う』と言っていたよ」<br />「違う？」<br />「もっと別の物だと言っていた。もっとな…。<br />「…」<br />「お前が合流してくる少し前の頃さ」<br />　ルーカスの視線は遠くなる。<br />「急にそんな話を始めた。あいつは幾つもサンプルを作り始めた。同じ物が出てくるまでな」<br />「それで？」<br />「出てきやしなかった…でもあいつはやめなかった。絶対に出来ると何故か思いこんでいた。俺達は単に出来の悪いだけのサンプルと思ってたんだがな。特にとっかかりも見つからねえ…。それだけの事かとな…」<br />「…彼は無駄な事なんかしない」<br />「そうだ。あいつは勘がいい。だからそのまま続けさせたんだ。しかし…」<br />そしてしばらく口を閉ざした。<br />　一紗は羽織っていたサマージャケットの胸ポケットから煙草を取り出すとゆっくりと火をつける。大きく煙を吐くと小刻みな指先の震えが穏やかになる。だが収まっている訳ではなかった。<br />「思い当たる節があるのね」<br />「…そうだ」<br />　ルーカスはテーブルに肘を突く。手の甲を組むと額を埋め俯いていた。<br />「夜だ…」<br />話は続く。<br />「あいつは言ったんだよ。『宿主が見つけられるかも知れない』とね」<br />「宿主が？」<br />「ああ。よく現地でのヒアリングの調書に目を通していた。気が付いた所があったんだろうが、その事について尋ねても答えてはくれなかった…」<br />　一紗は大きく目を見開いた。<br />「まさか、一人で行かせたっていうの…！？」<br />ルーカスはそのまま。俯いたまま。<br />「どうして…！。誰も止めなかったの？」<br />「あいつは耳を貸さなかった…！」<br />　声が振り絞られたように漏れた。<br />「晩に姿を消し、朝に戻ってきた。妙に呆けて顔をして戻って来た」<br />「それで？」<br />「…それっきりだ。あいつはそれから気が抜けちまって何もしなくなった」<br />「…何も？。どうして…？」<br />「知ってるだろ」<br />「…」<br />「あいつは無駄な事なんかしない」<br />　店内は人気がまばら。スーツ姿の群れがぞろぞろと店を出て行くのが見える。<br />「…発症したのはそれから半年たった後だ」<br />　何があったのかについては分からない。今となっては知りようもない。ルーカスとはまた連絡すると残して一紗は別れた。<br />　まだ陽の落ちる気配はないがすでに傾いてはいた。西日が焦がすように照りつけている。しかし打って変わって一紗は額に汗一つかかなかった。<br />　暑さを感じない。体の芯だけが冷え切っている。<br />―一体何を…。<br />　頭の中にその事だけが渦巻いて、覆い被さり、心を凍り付かせた。どこにいるのだろう。どこかであたふたとする自分の姿でも見ているのだろうか。そんな事をふと思った。<br /><br />（続く） ]]>
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<dc:subject>Blood The Last Vampire　～All Alone Chronicle</dc:subject>
<dc:date>2007-01-16T23:37:42+09:00</dc:date>
<dc:creator>servicearea</dc:creator>
<dc:publisher>FC2-BLOG</dc:publisher>
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